日本における多様な性をもつ子どもの現状と教育現場で求められる対応

藥師実芳 (特定非営利活動法人 ReBit 代表理事 )

日本において、LGBT の子どもは残念ながらハイリスク層である。 

 国内 7.6% (1) とも言われる LGBT が、自殺におけるハイリスク層であることは、「自殺総合対策大綱」(平成 24 年 8 月 28 日閣議決定)にも明記され、性同一性障害 者の約 58.6% が自殺念慮を抱き、特に自殺念慮が高まる時期が思春期の中学生の頃であるという。また、LGBT の子どもの約 68% がいじめや暴力を経験し(2)、性 同一性障害者の約 29% が不登校を経験(3)する。LGBT の子どもも安全に通える学 校づくりは全ての子どもの教育機会を保証の観点からも重要である。

 2015 年 4 月 30 日、文部科学省から「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ 細やかな対応の実施等について」という通知が出され、学校現場において、性同 一性障害を含む性的マイノリティの子どもたちに対しての支援や、教職員や子どもたちの理解向上に努める必要性が明記された。また、2017 年 4 月から高校教 科書の一部に、2019 年 4 月からは中学校教科書の一部に LGBT という言葉が登 場する。しかし、2017 年の学習指導要領の改訂に LGBT に関する文言は入らなかっ た。

 オリンピック憲章に性的指向による差別を禁ずる文言が入り、2020年の東京オ リンピック開催に向け、日本では自治体による条例策定の動きや、企業の取り組 みの増加や、東京でのプライドパレードは 12 万人を超える想定がされるなど注 目が高まっている。このような注目を「LGBT ブーム」と揶揄されることもあるが、 子どもの命はブームでは語れない。
 LGBT を含めた全ての子どもがありのままで 大人になれる社会を築くためにも、教育現場での継続的な取り組みが期待される。


(1) 平成 27 年 電通ダイバーシティラボ
(2) いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン、平成 25 年度東京都地域 自殺対策緊急強化補助事業「LGBT の学校生活に関する実態調査 (2013)」
(3) 新井富士美・中塚幹也他 (2008) 性同一性障害の思春期危機について 日本産科婦人科學會雑誌 60 巻 2 号 827, 第 60 回日本産科婦人科学会学術講演会より

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